nozaki
心の中を吹く風は
胸騒ぎとか虫が知らせると言うが、あれがそうだったのか
高校を卒業して35年『天地人』のようなちょんまげをしている時代ならば
もう長寿と言うのだろうが

良く会う友とその友達の話が時折話題にのぼる
3人とも同じ高校の同級生、仕事も違えば勤務地も違うなどして
良く会う友以外の同級生とは会うという事なども無く
お祭のたび1年ぶりだという会話をする友も少なくない

その友の話もふっと沸いたように出てきていた

その話の少し後、家の近くの開発されていた住宅地にいろいろな住宅メーカーが
競い合うように家を建てては現地見学会を開いていた
そんな中その友の勤め先の旗を見つけた

懐かしさに惹かれたずねてみると
若い社員は彼の名を聞くなり「いません」とだけ答える
たしか社長になっているはずなのにと、何か不祥事でもとよからぬ事を思い考える

しかし狭い街、そのようなことがあれば良く会う友が知らぬはずないと思い直したり

それからしばらく時が流れた

またいつものように「バッグある?」と言うような顔をしていつもの友が店に現れる
いつものように話が進み、また例の友の名前があがる

そうだなと友が帰った後
確か聞いていた携帯番号を探し出しダイヤルしてみる
「あなたのお掛けになった電話番号は現在使われておりません」

なんか変だよな
あっそうだと、その友を知る友に連絡を入れた
そこであの何とも嫌な、変な感じの正体を知る

「もう少し前に癌で亡くなった」と
さすがに身近な同じ年の死となると、親戚のおじさん・おばさんなどともちょっと違う

もう80を超えた父が同じ年や郷里の顔見知りの訃報を見
ため息をついて3日ほど元気がなくなるのを良く見ていたが

まだ「次は自分」と言うのとは違う、まだそんな時期ではないだろうという無念さがうかぶ
勝手なものでその友の暮らしぶりや趣味やその他いろいろを知らず
ただ漠然と、同じ若い日を共に過した面影を思い出して

胸騒ぎや虫が知らせてくれたのは
「おまえら長生きしろよ」ってことか
あいつならそんなことを言いそうだ

そしてやはり生きているいじょう『楽しく生きている』という生き方をせねばと
友の死は教えてくれる     冥福を祈る さよなら
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